「テクニカル分析入門」


今でこそ長期保有のバリュー投資を目指しているのですが、2005年の1月くらいから株式投資の勉強を始めた頃、一番最初に勉強したのはチャートを利用したテクニカル分析でした。
そのとき初めて読んだ本が、
テクニカル分析入門」(田中勝博)
でした。


なぜこの本を「役立つ書籍」として紹介するのかというと、この本はテクニカル分析の入門のみならず、投資哲学を学ぶことができるからです。

本書で述べられている投資哲学のうち、特に私の心に残ったことを記します。


①自分が、投資家なのか投機家なのか自覚を持つこと
「投資」は企業の成長を読んで楽しむものであり、時間をかけて利益を生んでいくものです。
それに対し、「投機」とは、短期的な市場の需給の変化を読んで株価を売買するものです。
「10年後の利益より明日の利益」という考えのある方は、自分が投機家であることを自覚しなければならないと筆者は言います。
なぜなら、投資の手法で投機を行えば、必ず大きな失敗を犯してしまうからです。
自分の行動が投資なのか、投機なのか・・・・
いつも頭の片隅にしまっておくべきでしょう。


②自分に自信を持てるよう勉強をすること
自分の判断に自信が持てないというのが、儲けることができない一番決定的な要因であると筆者は言います。
アナリストの推奨銘柄にすぐ乗るようになってしまうようになったら危険な兆候です。
自分の判断に自信が持てるよう、勉強は続けていかなければならないのです。


③取引依存症に注意する
儲けることより取引することが目的になってしまっている投資家が多い、と筆者は言います。
確かに気をつけていないと、時間が経つにつれ自分の本来の目的を見失ってしまうことは考えられます。


④感情に流されてはいけない
本書は、テクニカル分析について解説されている本なので、感情に流されることのないよう自分なりのシステム売買を構築することを薦めています。
売買のタイミングは、自分の感覚ではなく自分で設定したシステム(ルール)に沿わなければならないということです。
しかし、バリュー投資にしても、感情に流されてはいけないということは当てはまります。
つまり、どんな魅力的な投資に思えても、自分で設定した価値が認められなければその株は買ってはいけないということです。


⑤過ちを認めること
投資の上手下手を決める要因は、損切りがちゃんとできるかどうかにかかっていると筆者は言います。
損切りをするということは、自分のその銘柄への投資が間違いであったことを認める行為に他なりません。
バリュー投資の場合にもこのことは大事です。
自分で測った価値が間違いであったことに気づいたら、その銘柄が価値より割高であれば、売却をするのかしばらく様子を見るのか真剣に検討しなければならないのです。


一応、いまでもチャートを読もうとすればそこそこ読むことはできるのですが、もう投資をするときにはチャートを見ることは基本的にありません。
チャートをみて利益を最大化すべく努力するよりも、リスク管理や投資先の経営状況の監視に力を入れることの方が大事と私には思えるのです。