この「高齢者対策」とは一体なんなのか?

今日気になったNIKKEI NETの記事「高齢者対策、配当100万円以下非課税 自民、マル優制度で検討」から。


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自民党の「高齢者の安心と活力を強化するための合同部会」(与謝野馨会長)は30日午前、総会を開き、総合的な高齢者対策を正式に決定した。株式の配当や譲渡益の一定割合を非課税とする「高齢者投資マル優制度」(仮称)を導入することなどが柱だ。近く福田康夫首相に提出し、6月にも決定する政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針2008」に反映させる考えだ。
マル優制度をめぐっては「高齢者の年金を補う収入として預金利息に比し株式や投資信託の配当などの重要性が高まっている」と強調。株式の100万円以下の配当や500万円以下の譲渡益を非課税にすることを検討する。預貯金や国債にも適用する場合は、元本合計の500万円までを非課税枠とするとした。
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http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080530AT3S3000F30052008.html


100万円の配当がもらえる株式ということは、ざっくり時価5,000万円程度の株式を持っているということです(配当利回り2%として試算)。
500万円も譲渡益を上げられれば、譲渡益だけでも2年間は生活できます。
実際は、譲渡益以外に元本部分の資金もあるでしょう。
そんなに金融資産を持っている人に、非課税を適用する高齢者対策が必要ですか?


日本で高齢者の割合が増えるにつれ、高齢者にやさしい政策を打ち出す政治家が選挙で勝ちやすくなります。
そして、「未来のためにどうすべきか」という議論よりも目先の問題の議論が優先されがちです。
社会保険費は増大を続け、日本政府は多額の借金を背負い、私たち若年層へのツケは増えるばかりです。
私たち若年層は、お行儀よく負担増を受け入れ続けるだけではなく、もっと将来のことを考えた政策を打ち出すよう声を大にしてアピールしていく必要があります。


たしかに、生活していくことが困難なお年寄りもいます。
しかし一方で私たち若年層にも、生活してくことが困難で住む家すらない若者がいます。
年齢で区別するのではなく、救済が必要な人を救済する仕組みをつくれば良いのです。
たとえば「後期高齢者医療制度」についても「お年寄りをいじめるな!」という単純な議論が起こっていますが、本当の問題は「生活が困難な状況にある人をどうやって救済するか」と「増加しつづける社会保険料をどうやって抑制するか」でしょう。